(注記)

 

このページに掲載される各情報は、各ページ作成時に公表されている資料をもとにしています。

 

資料に関しては、すべての情報が利用可能な状況ではありません。

たとえば、東京電力並びに政府は、事故発生時から2011/03/12午前3時ごろまでのプラントに関するパラメーターをほとんど公開していません。 (2011/05/11現在)

もちろんこれには、技術的な理由もあるのですが、その他にも、誰にもわかっていない、見えていないこと等もまだまだたくさんあります。

 

2011/05/16 東京電力は訂正版のパラメーターを公開、さらに膨大なプラントデーターを公開しました。

 

 

また、作成者の知識並びに調査能力、理解力の限界があります。(この底は相当浅いものです。)

 

したがって、事故の要因、程度等については、未確定です。

正確な事故の要因、事故の拡大進行の過程、程度や影響等の確定には、法的な権限を持った正式な組織(事故調査員会等)の調査や捜査を待たなければなりませんし、相当の時間がかかるものと思います。

 

事故調査委員会には、事故の技術的な側面だけでなく、事故対応における、総理および政府並びに関与した政治家、専門家、各関連機関の果たした役割(プラス、マイナス両面)についても調査検証をしていただきたいと思います。

 

Sub Categories

This page is:
Main Category:  シミュレーションSPEEDI他 (SI)
Sub Category: Cs137 太平洋拡散簡易シミュレーション (ky)

 

シミュレーションの話
(si)
SPEEDI
(sp)
気象庁
(jma)

事故解析

(aa)

Cs137太平洋拡散簡易シミュレーション(ky)

Csシミュレーション1F沖合海域(ki)

 

 

Personal Interests Research and Data Storage

2011/07/17 

 

 

独立行政法人日本原子力研究開発機構 (JAEA) は、

2011/06/24に、

「太平洋における放射能濃度分布のシミュレーションについて」という発表を行っています。

 

JAEAは、「LAMER」という独自開発のコードを使い

太平洋の遠洋全域を約200kmメッシュで、年オーダーのCs137放射能分布シミュレーションを行いました。

(今後他機関と協力により、より高精度なシミュレーションを行う予定だそうです)

 

シミュレーションの目的

「地球規模の拡散状況、海産物摂取による内部被ばく量を把握すること」

 

仮定

>セシウム137 の放出シナリオ

8.45PBq(=15PBq×0.5(大気を経由)+(0.94+0.0096)PBq(海洋へ直接))

2011/4/1 発電所沖合に全量投入

 

>拡散係数

水平拡散係数 1.3×104 m2/s、 鉛直拡散係数 3×10-5 m2/s  表層混合層についても考慮

 

>その他

海底への堆積、海底からの再浮遊、粒子 態との吸脱着、河川からの流入等は考慮していない

 

 

結果

1 年後(平成24 年4 月)の太平洋の海水中セシウム137 濃度は、最も放射能濃度の高いもので0.023Bq/L と予測

これは現在のバックグラウンド(BG)の放射能濃度(0.0012〜0.0020 Bq/L)に比べれば約14 倍

セシウム137 を含む水塊は、黒潮及び黒潮続流並びに北太平洋海流によって太平洋を東に移流・拡散 していき、

3 年後の水塊の中心は北太平洋東部へ移動していると予測

5 年後には約0.0002Bq/L (現在のBG の約10 分の1)の濃度がアメリカ西海岸へ到達する

7 年後にはすべての海域に おける濃度が0.002Bq/L よりも小さくなり、現在のBG と区別できないほど希釈が進む

 

(画像をクリックすると大きくなります)

経年変化 JAEAの資料の一部

ky1y.jpg (55546 バイト)

1年後

ky3y.jpg (55329 バイト)

3年後

ky5y.jpg (55291 バイト)

5年後

ky7y.jpg (55346 バイト)

7年後

 

 

 

さらに、同発表の中では

「海産物摂取による内部被ばくの推定」

が行われています。

 

>推定の前提

平成24 年4 月時点におけるセシウム137 の濃度の計算値から、放出量、半減期を補正することで、ヨウ素131、セシウム134 の濃度の計算値を算出

保守的に計算するため海洋での最大濃度に濃縮係数を乗じて海産物中濃度を推定し、日本人の平均 的な海産物摂取量、実効線量係数を乗じることで海産物による内部被ばく線量を推定

 

 

「預託実効線量」の計算

 《シナリオ》

@ 魚介類摂取量(平成 20 年の国民健康・栄養調査による)

一年間(365 日)毎日

「魚64g、エビカニ5.4g、イカタコ5.5g、貝類3.5 g、海藻類10g」摂取する ものと想定。

A 市場・調理等における希釈 上記希釈について(半減期や排泄等も含め)考慮しない。(保守的仮定)

B 水の放射能濃度の想定 魚介類が平成24 年4 月の最高濃度の海水中で生息し続けたと仮定。(保守的仮定)

ヨウ素131:4.7×10-15 Bq/L

セシウム134:0.020 Bq/L

セシウム137:0.023 Bq/L

eg. Cs137の計算

1.3E-05×0.023×(64×100+5.4×50+5.5×9+3.5×60+10×50)/1000×365 =約0.82×E-03 mSv/y

・アンダーラインはそれぞれの濃縮係数

・1.3E-05は実効線量計数

 

 

結果

Cs134とCs137で、年間約1.8μSv となる。

(I131の影響は2ケタほど下のレベル0.038程度)

「なお、同様の計算方法で昭和30年代の年間の内部被ばく線量を試算したところ 約1.7μSv と推定される。」

 

(留意点)

モデルの検証については、過去の大気圏内核実験によって拡散したセシウム137 の放出量を用いて LAMER で海水中の放射能濃度を計算し、これを実測値と比較したところ、セシウム137 の計算値を2 倍に した値は実際の実測値の約90%を含んでいることから、セシウム137 の濃度が高い海産物を摂取した場 合であっても、本評価の2 倍程度の線量に収まるものと考えられる。