(注記)

 

このページに掲載される各情報は、各ページ作成時に公表されている資料をもとにしています。

 

資料に関しては、すべての情報が利用可能な状況ではありません。

たとえば、東京電力並びに政府は、事故発生時から2011/03/12午前3時ごろまでのプラントに関するパラメーターをほとんど公開していません。 (2011/05/11現在)

もちろんこれには、技術的な理由もあるのですが、その他にも、誰にもわかっていない、見えていないこと等もまだまだたくさんあります。

 

2011/05/16 東京電力は訂正版のパラメーターを公開、さらに膨大なプラントデーターを公開しました。

 

 

また、作成者の知識並びに調査能力、理解力の限界があります。(この底は相当浅いものです。)

 

したがって、事故の要因、程度等については、未確定です。

正確な事故の要因、事故の拡大進行の過程、程度や影響等の確定には、法的な権限を持った正式な組織(事故調査員会等)の調査や捜査を待たなければなりませんし、相当の時間がかかるものと思います。

 

事故調査委員会には、事故の技術的な側面だけでなく、事故対応における、総理および政府並びに関与した政治家、専門家、各関連機関の果たした役割(プラス、マイナス両面)についても調査検証をしていただきたいと思います。

 

 

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放射線
放射性物質
放射能
(ra)

3.11前の環境中の放射性物質(bef)

 

 

想定放出核種
(sou)

半減期イメージ(han)

Cs-134・Cs-137の複合減衰と放射線量簡易予測(hanC)

 

電離則

内部被ばく計算

実効線量計数

(den)

BSS 年齢グループ別 内部被ばく実効線量係数

(bss)

 

外部被ばくによる障害と治療(os)

内部被ばくの治療(is)

 

 

 

 

 

Personal Interests Research and Data Storage

2011/07/08

 

 

2011/07/03作成開始

07/08追加 

 

原子力安全・保安院は、

2011/06/06に、

「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、 2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について」

を、公表しました。

 

この中で保安院は、

独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)が行った、炉心、圧力容器、格納容器、プラントに関する解析より、想定される、大気中への放出核種と放出量を示しています。

 

また同資料をもとにした、IAEAへの報告書(原子力災害対策本部が6月中旬発表)では、

同解析の結果

「1、2、3 号機合計でのI-131 とCs-137 のI-131 換算 での総量は約84 万テラベクレルとなっている。

これは、4 月12 日のINES 評価 における想定量37 万テラベクレル(原子力安全委員会の試算では63 万テラベ クレル)と、規模としては概ね変わらない程度の結果となっている。」

としています。

参考:INESレベル評価

 

各号機の炉心状態解析については、

1号機の炉心状態解析

2号機の炉心状態解析

3号機の炉心状態解析

 

事故解析(シミレーション)については、

事故解析

をご覧ください。

 

 

大気への放出核種と放出量 (MELCORによる推定)

 

1号機:「ヨウ素の放出割合としては約0.7%、セシウムの放出割合としては約0.3%となっている。」

2号機:「ヨウ素の放出割合としては約0.4〜7%、セシウムの放出割合としては約0.3〜6%となっている。」

3号機:「ヨウ素の放出割合としては約0.3〜0.8%、セシウムの放出割合としては約0.2〜0.6%となっている。」

 

*1号機は感度解析ケース2

*2号機は事業者解析ケース2

*3号機は事業者解析ケース2

(保守的(厳しめの結果)なものを選んでいます、詳しは、状態解析のページ等をご覧ください)

 

 核種   半減期     1号機   2号機   3号機   合計 
 Xe-133   5.2   d  3.40E+18 3.50E+18 4.40E+18 1.13E+19
 Cs-134   2.1   y  7.10E+14 1.60E+16 8.20E+14 1.75E+16
 Cs-137   30.0   y  5.90E+14 1.40E+16 7.10E+14 1.53E+16
 Sr-89   50.5   d  8.20E+13 6.80E+14 1.20E+15 1.96E+15
 Sr-90   29.1   y  6.10E+12 4.80E+13 8.50E+13 1.39E+14
 Ba-140   12.7   d  1.30E+14 1.10E+15 1.90E+15 3.13E+15
 Te-127m   109.0   d  2.50E+14 7.70E+14 6.90E+13 1.09E+15
 Te-129m   33.6   d  7.20E+14 2.40E+15 2.10E+14 3.33E+15
 Te-131m   30.0   h  9.50E+13 5.40E+10 1.80E+12 9.69E+13
 Te-132   78.2   h  7.40E+14 4.20E+11 1.40E+13 7.54E+14
 Ru-103   39.3   d  2.50E+09 1.80E+09 3.20E+09 7.50E+09
 Ru-106   368.2   d  7.40E+08 5.10E+08 8.90E+08 2.14E+09
 Zr-95   64.0   d  4.60E+11 1.60E+13 2.20E+11 1.67E+13
 Ce-141   32.5   d  4.60E+11 1.70E+13 2.20E+11 1.77E+13
 Ce-144   284.3   d  3.10E+11 1.10E+13 1.40E+11 1.15E+13
 Np-239   2.4   d  3.70E+12 7.10E+13 1.40E+12 7.61E+13
 Pu-238   87.7   y  5.80E+08 1.80E+10 2.50E+08 1.88E+10
 Pu-239   24065   y  8.60E+07 3.10E+09 4.00E+07 3.23E+09
 Pu-240   6537   y  8.80E+07 3.00E+09 4.00E+07 3.13E+09
 Pu-241   14.4   y  3.50E+10 1.20E+12 1.60E+10 1.25E+12
 Y-91   58.5   d  3.10E+11 2.70E+12 4.40E+11 3.45E+12
 Pr-143   13.6   d  3.60E+11 3.20E+12 5.20E+11 4.08E+12
 Nd-147   11.0   d  1.50E+11 1.30E+12 2.20E+11 1.67E+12
 Cm-242   162.8   d  1.10E+10 7.70E+10 1.40E+10 1.02E+11
 I-131   8.0   d  1.20E+16 1.40E+17 7.00E+15 1.59E+17
 I-132   2.3   h  4.50E+14 9.60E+11 1.80E+13 4.69E+14
 I-133   20.8   h  6.50E+14 1.40E+12 2.60E+13 6.77E+14
 I-135   6.6   h  6.10E+14 1.30E+12 2.40E+13 6.35E+14
 Sb-127   3.9   d  1.70E+15 4.20E+15 4.50E+14 6.35E+15
 Sb-129   4.3   h  1.60E+14 8.90E+10 3.00E+12 1.63E+14
 Mo-99   66.0   h  8.10E+07 1.00E+04 6.70E+06 8.77E+07
合計     3.42E+18 3.68E+18 4.41E+18 1.15E+19

 

2011/03/11時点のインベントリーについては、

(各号機の、炉心、使用済み燃料プール内の放射能量評価)

東京電力が発表しています。

炉心損傷でご覧ください。

 

検出されている核種については

検出された核種一覧をご覧ください。

 

 

上記の表で興味深いのは、Xe-133の占める割合が大変多いことです。

 

1号機

2号機

3号機

合計

Xe-133の比率

99.4472%

95.1261%

99.7159%

98.1690%

したがって、想定放出量における支配的な核種はXe-133です。

Xe-133は、短半減期(5.2日)で、β崩壊し安定同位体Cs-133に変化します。

 

Xe-133を除くと、I-131が主要な核種となります。

Xe-133を除いた総量に占める I-131の割合は

 

1号機

2号機

3号機

合計

I-131の比率

(Xe-133を除いた総量に対して)

63.4958%

78.0702%

55.8481%

75.4418%

I-131は、β、γ崩壊をし安定同位体Xe-131へ

半減期は8日のため、こちらも長期的な影響という意味では重要性が減る核種です。

(100のモノは、80日後0.0977 160日後で、0.0001になります)

 

長めの半減期(30日以上)の核種を抽出したのが下の表です。

 核種   半減期    1号機     2号機     3号機     合計   
 Cs-134   2.1   y  7.10E+14 30.0887% 1.60E+16 47.1337% 8.20E+14 26.4939% 1.75E+16 44.4915%
 Cs-137   30.0   y  5.90E+14 25.0033% 1.40E+16 41.2420% 7.10E+14 22.9398% 1.53E+16 38.8318%
 Sr-89   50.5   d  8.20E+13 3.4750% 6.80E+14 2.0032% 1.20E+15 38.7715% 1.96E+15 4.9796%
 Sr-90   29.1   y  6.10E+12 0.2585% 4.80E+13 0.1414% 8.50E+13 2.7463% 1.39E+14 0.3530%
 Te-127m   109.0   d  2.50E+14 10.5946% 7.70E+14 2.2683% 6.90E+13 2.2294% 1.09E+15 2.7639%
 Te-129m   33.6   d  7.20E+14 30.5125% 2.40E+15 7.0701% 2.10E+14 6.7850% 3.33E+15 8.4516%
 Ru-103   39.3   d  2.50E+09 0.0001% 1.80E+09 0.0000% 3.20E+09 0.0001% 7.50E+09 0.0000%
 Ru-106   368.2   d  7.40E+08 0.0000% 5.10E+08 0.0000% 8.90E+08 0.0000% 2.14E+09 0.0000%
 Zr-95   64.0   d  4.60E+11 0.0195% 1.60E+13 0.0471% 2.20E+11 0.0071% 1.67E+13 0.0423%
 Ce-141   32.5   d  4.60E+11 0.0195% 1.70E+13 0.0501% 2.20E+11 0.0071% 1.77E+13 0.0449%
 Ce-144   284.3   d  3.10E+11 0.0131% 1.10E+13 0.0324% 1.40E+11 0.0045% 1.15E+13 0.0291%
 Pu-238   87.7   y  5.80E+08 0.0000% 1.80E+10 0.0001% 2.50E+08 0.0000% 1.88E+10 0.0000%
 Pu-239   24065   y  8.60E+07 0.0000% 3.10E+09 0.0000% 4.00E+07 0.0000% 3.23E+09 0.0000%
 Pu-240   6537   y  8.80E+07 0.0000% 3.00E+09 0.0000% 4.00E+07 0.0000% 3.13E+09 0.0000%
 Pu-241   14.4   y  3.50E+10 0.0015% 1.20E+12 0.0035% 1.60E+10 0.0005% 1.25E+12 0.0032%
 Y-91   58.5   d  3.10E+11 0.0131% 2.70E+12 0.0080% 4.40E+11 0.0142% 3.45E+12 0.0088%
 Cm-242   162.8   d  1.10E+10 0.0005% 7.70E+10 0.0002% 1.40E+10 0.0005% 1.02E+11 0.0003%
合計     2.36E+15   3.39E+16   3.10E+15   3.94E+16  

 

この表からも、セシウム(Cs-134、Cs-137)が、全体の80%以上を占める事がわかります。

半減期が2.1年のCs-134は約15年後には、発災時の1/100以下になるので、

(半減期イメージを参照してください)

やはり長期的な影響を考えると、除染対策を検討する際はCs-137を主対象とすべきことがわかります。

 

ついでに、Cs-137は見つけやすいので、Cs-137と他の核種の割合を下に示します。

 

 核種  1号機   2号機  3号機  合計  全体比
 Cs-134  120.339% 114.286% 115.493% 1.75E+16 114.575%
 Cs-137  100.000% 100.000% 100.000% 1.53E+16 100.000%
 Sr-89  13.898% 4.857% 169.014% 1.96E+15 12.824%
 Sr-90  1.034% 0.343% 11.972% 1.39E+14 0.909%
 Te-127m  42.373% 5.500% 9.718% 1.09E+15 7.118%
 Te-129m  122.034% 17.143% 29.577% 3.33E+15 21.765%
 Ru-103  0.000% 0.000% 0.000% 7.50E+09 0.000%
 Ru-106  0.000% 0.000% 0.000% 2.14E+09 0.000%
 Zr-95  0.078% 0.114% 0.031% 1.67E+13 0.109%
 Ce-141  0.078% 0.121% 0.031% 1.77E+13 0.116%
 Ce-144  0.053% 0.079% 0.020% 1.15E+13 0.075%
 Pu-238  0.000% 0.000% 0.000% 1.88E+10 0.000%
 Pu-239  0.000% 0.000% 0.000% 3.23E+09 0.000%
 Pu-240  0.000% 0.000% 0.000% 3.13E+09 0.000%
 Pu-241  0.006% 0.009% 0.002% 1.25E+12 0.008%
 Y-91  0.053% 0.019% 0.062% 3.45E+12 0.023%
 Cm-242  0.002% 0.001% 0.002% 1.02E+11 0.001%
合計       3.94E+16  

 

比重や飛散の仕方などにより、一概に言うことは出来ませんけど、Cs-137が見つかれば、その地点では、

Cs137より半減期の長い物は上記の比率以上で、

Cs137より半減期の短いものは上記の比率以下で、

他の核種も存在する可能性があるとは言えそうです。

 

また、前述の通り、Cs-137が長期的な影響の主体であることが、この表からもうかがえます。

 

 

 

追加で、

セシウムからヨウ素による被ばくを推定するなんていう要望もあるようです。

そこで、Cs-137、Cs-134とI-131の比率を上記により求めたもの下の表に示します。

 

 核種  1号機 2号機 3号機 全体
 Cs-134  120.339% 114.286% 115.493% 114.575%
 Cs-137  100.000% 100.000% 100.000% 100.000%
 I-131  2033.898% 1000.000% 985.915% 1039.216%

 

解析上の放出は、数日間(シビアアクシデントの主要な事象発生から4日間について)に行われています。

 

非常にざっくりですが、I-131の影響は、最大では、Cs-137のおおよそ10倍という感じで(放出時点付近)、

その後減衰していき(半減期イメージを参考)、1月後にはCs-137の影響より小さくなります。