(注記) |
このページに掲載される各情報は、各ページ作成時に公表されている資料をもとにしています。
資料に関しては、すべての情報が利用可能な状況ではありません。 たとえば、東京電力並びに政府は、事故発生時から2011/03/12午前3時ごろまでのプラントに関するパラメーターをほとんど公開していません。 (2011/05/11現在) もちろんこれには、技術的な理由もあるのですが、その他にも、誰にもわかっていない、見えていないこと等もまだまだたくさんあります。
2011/05/16 東京電力は訂正版のパラメーターを公開、さらに膨大なプラントデーターを公開しました。
また、作成者の知識並びに調査能力、理解力の限界があります。(この底は相当浅いものです。)
したがって、事故の要因、程度等については、未確定です。 正確な事故の要因、事故の拡大進行の過程、程度や影響等の確定には、法的な権限を持った正式な組織(事故調査員会等)の調査や捜査を待たなければなりませんし、相当の時間がかかるものと思います。
事故調査委員会には、事故の技術的な側面だけでなく、事故対応における、総理および政府並びに関与した政治家、専門家、各関連機関の果たした役割(プラス、マイナス両面)についても調査検証をしていただきたいと思います。
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This page is: Main Category: 事故経緯とパッシブフェーズ (AP) Sub Category: 炉心損傷 (cd) |
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Personal
Interests Research and Data Storage 2011/06/23
各号機の炉心状態解析については、以下のページをご覧ください。
2011/05/23 作成開始 6/23 情報追加更新
炉心損傷について基礎情報
炉心とは
このSub Categoryで問題となる、福島第1原子力発電所の1,2,3号機は、BWR(沸騰水型原子炉)です。
BWRの炉心は RPV(原子炉圧力容器)内の、シュラウドというステンレス鋼製の円筒状の構造物(下の資料:水色の線部分)と、 炉心支持板(下側の赤線)、上部格子板(上側の赤線)に囲まれた部分に装荷された、燃料の集まりです。 (画像をクリックすると大きくなります。)
BWRで燃料は、セル(単位格子)と呼ばれる一つのまとまりになっています。 セルは4つの燃料集合体と一つの制御棒(十字型)で構成されています。 (画像をクリックすると大きくなります。)
BWRの燃料集合体は、燃料棒60本程度と、その他の部品で構成されています。 (画像をクリックすると大きくなります。)
BWRの燃料棒は、ジルコニウム合金(ジルカロイ-2)製の燃料被覆管に、 2酸化ウラン(UO2)を焼き固めたペレット(外径約10mm、高さ約10mm)を充てんしたものです。
ペレットになる2酸化ウランは、核分裂性物質としてU-235を3-4%の濃縮したものです。
U235の割合 (新燃料時:東京電力の説明)
(核兵器として用いられるウランの濃度は90%以上、 核爆発を引き起こすのにも70%以上の濃度が必要だそうです。)
MOX燃料 混合酸化物燃料(Mixed−Oxide)
3号機には、使用済みウラン燃料から、再利用された酸化プルトニウム等を使った、 ウラン・プルトニウム混合燃料が、ウラン燃料と併用されています。 Pu・プルトニウムの割合 (新燃料時:東京電力の説明)
3号に装荷されているMOX燃料の集合体は32体です。
(ウラン燃料も、運転が始まるとプルトニウムを生み出すので、MOXか通常燃料かで、 特に異なった振る舞いはないと説明されています。)
各号機の炉心 東京電力の資料より
インベントリー 3/11時点の放射能量(評価値) 単位Bq
ご覧の通り、放射能量のほとんどが炉心にあるといった感じです。 例えば、3号機のプールにある放射能量は、3号機炉心の2%程度です。
さらに停止後、放射能量は減衰していきます。 減衰は炉心ほど激しく、使用済みプール内の燃料はほとんど影響を受けないようです。 例えば、3号機の炉心にある放射能量は、4/11では、”2.80E+19”で、3/11時点の11%程度まで、急減衰します。 一方、4号機のプールのレベルは、4/11でも”2.10E+19”で変わりません。
4/11時点の放射能量(評価値) 単位Bq
1号から6号機までの、合計では 3/11で、”7.2E+20”、 4/11では、”1.5E+20” と21%程度まで減衰します。
今回、福島第1原子力発電所1,2,3号機で起きたことは、 冷却の問題によるシビアアクシデントに該当すると考えられています。
シビアアクシデント 「設計基準事象を大幅に超える事象であって、 安全設計の評価上想定された手段では適切な炉心の冷却または反応度の制御ができない状態であり、 その結果、炉心の重大な損傷に至る事象”」 財団法人 高度情報科学技術研究機構の資料より
原子炉がスクラム(自動停止)しても、燃料は熱をすべて失うわけではありません。 停止時の崩壊熱は、運転中の出力の7〜8%だそうです。
崩壊熱は、減少していきますが、冷却ができないと炉心と原子炉内の温度は上昇します。 (運転中は、水を循環させて蒸気で大量の熱を奪い続けています。 その蒸気でタービンを回して発電)
崩壊熱の変化 (画像をクリックすると大きくなります。)
さらに、燃料棒の被覆管の材料であるジルカロイと水蒸気が化学反応して、熱を出していきます。
高温で、炉心に起こること (画像をクリックすると大きくなります。)
1,2,3号機における、炉心の損傷と状態
今回、冷却がうまくいかなかったことより、炉心はどのようなダメージを受けたのか
東京電力は、 2011/03/15に、 各号機のCAMS(格納容器雰囲気モニタ)のデーターから、それぞれの炉心損傷割合の推定を公表。 2011/04/27に、 CAMSのデータのミス、並びに評価ミスを訂正。
損傷割合は、CAMSで得たγ線線量と、スクラムからの経過時間から推定したようです。
東京電力が公開した資料はこちら(準備中)
東京電力によると ここでいう「炉心損傷割合」とは、
「炉心内の全燃料棒(燃料被覆管)のうち、温度上昇などによって損傷した燃料棒(被覆管)の割合。」
(以下、私見---- さらに、炉心がどういう形状か?という事とは、このデータからは何とも言えないもののようで、 被覆管が本来の閉じ込め機能どれぐらい喪失したかを表す数値と解釈したほうがいいのかもしれません。 本来は燃料棒内にあるはずの、放射性物質が外に出てきていることから、どれくらい閉じ込める機能を失ったかを推定したもののようです。 間違ってたらごめんなさい。)
炉心状態の解析
東京電力、原子力安全・保安院は、それぞれ、1-3号機の炉心の状態について解析を行っています。 2011/05/15 (東京電力公表) 「東京電力 福島第一原子力発電所1号機の炉心の状態について」 2011/05/23 (東京電力公表) 「東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所運転記録及び事故記録の分析と影響評価について」 2011/06/06 【原子力安全・保安院公表) 「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、 2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について」
解析とは、シミュレーションです。 それぞれの号機については、以下のページをご覧ください。
東京電力の炉心状態の評価 (解析と、観測されているパラメーター等からの判断)
1号機 「解析及びプラントパラメータ(原子炉圧力容器周辺温度)によれば、炉心は大幅に損傷しているが、所定の装荷位置から下(下部プレナム)に移動・落下し、大部分はその位置付近で安定的に冷却できていると考える。」
2号機 「本解析及びプラントパラメータによれば、炉心は大幅に損傷しているが、所定 の装荷位置から下(下部プレナム)に移動・落下し、大部分はその位置付近で安定的に冷 却できているものと考える。」
3号機 「本解析及びプラントパラメータによれば、炉心は大幅に損傷しているが、所定 の装荷位置から下(下部プレナム)に移動・落下し、大部分はその位置付近で安定的に冷 却できているものと考える。」
さらに、 炉心、圧力容器、格納容器、プラントに関する解析より、 大気中への放射性物質の放出が想定されていいます。
東京電力は、上記インベントリーのおよそ1%程度としています。
独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)が行った解析の結果では、核種と放出量が公表されています。 詳細は をご覧ください。
”メルトダウン” (余談)
メルトダウンという状態は、技術的な定義のあるものではないようです。 東京電力や保安院、行政も、「メルトダウンですかどうですか?」と聞かれ困っているようでした。
定義が無いので、聞かれているメルトダウンがどういうものかを確定して、共有しないといけませんし、 もし炉心の形状が、その定義の重要な要素であるとすると、 技術的には、圧力容器内の炉心の形態を確認する手段は、質問を受けてるときはもちろん、 今後も圧力容器のふたを開けるなどしない限りないという事情があります。
そのため、「可能性はあるでしょう」としか答えようがないという質問です。 もちろん「メルトダウン」という言葉が醸し出す、ネガティブなイメージも彼らに使用を躊躇させていたようです。
保安院は 2011/04/18に公表した資料で 「炉心の損傷に関連する概念整理」という事で、「メルトダウン」を
”燃料集合体が溶融した場合、燃料集合体の形状が維持できなくなり、溶解物が重力で原子炉の炉心下部に落ちていく状態をいう。 メルトダウンの規模については少量の場合から多量の場合によって原子炉圧力容器や格納容器との反応が異なる。 多量の場合は原子炉圧力容器等を貫通することもあり得る。”
としています。
一方で、保安院は同じ資料で、1,2,3号機すべてで、燃料ペレットが溶融していると推定しています。 ただ、溶融の度合いは燃料を取り出すまでは分からない(形状も見てみないとわからないですしね) という事で、規模は別としてメルトダウンも推定されるというのが正確な表現でしょうか?
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